生野菜包装は遮断と透過のバランス

加工食品の包装も難しい面は多々ありますが、生鮮野菜はそれにもまして包装する食材としては難しいかもしれません。

野菜と一口に言っても、カリフラワーなどの花菜類、山菜、キノコ、カット野菜、未熟豆類、葉野菜、未熟果菜類、根菜類と多岐にわたっています。

そして、生鮮野菜は呼吸しているがために、この呼吸に影響させないようにするのが野菜類の包装の難しさと言われています。

この呼吸量は、前記記載の順番に少なくなっています。ところが、この呼吸量も温度上昇で変化します。

ちなみに10℃上がるごとに2~3倍増加すると言われており、更に呼吸で呼吸熱という熱が発生し一層鮮度低下につながってしまいます。

このような青果物を包装する時に気を付けなくてはいけないのが、この呼吸熱で発散した水蒸気を如何に適度に吸収させるかということ。

昔よく見かけた八百屋では包装に新聞紙を使用していました。

この新聞紙が適度に水蒸気を吸収してくれるため、腐敗防止と野菜の色落ちなどを防いでくれていたのです。

まさに先人の知恵と言っていいのかもしれません。この新聞紙に替わるような包装を考えなくてはいけないという事です。

一般的に鮮度維持に必要な環境として、通常の大気中より5%程度酸素濃度は低く、3~5%程度の二酸化炭素濃度が最も適していると言われています。

このような環境を機械設備で整える方法と、包装という手法で叶えることが現在行われています。

リンゴの保管が前者の方法で行われており、後者の方法とし「MA包装」があります。MA包装はフィルム包装で行っているもので呼吸作用とガス透過性のバランスをとったものでまさにフィルム包装の面目躍如といったところでしょうか。

具体的には低密度ポリエチレン(LDPE)や延伸ポリプロピレン(OPP)などのガス透過性の高いフィルムが使用されており、さらに常温でのガス透過性低下防止のため袋に穴を設けたものも使用されています。

さらに野菜に特化した「P-プラス」という包装する野菜に適した微細穴でコントロールできる袋なども生み出されています。

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